肝腫瘍性病変(肝臓に腫瘍があると言われた)
肝腫瘍性病変(肝臓に腫瘍があると言われた)
肝臓の腫瘍とは大きく分けて「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」があり、その種類によって経過・治療方針が大きく異なります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、腫瘍ができていても自覚症状が出にくいのが特徴です。健康診断の腹部超音波検査(エコー検査)やCT検査で偶然発見されるケースがほとんどです。「検査で肝臓に影があると言われた」と不安を感じて受診される方も多くいらっしゃいますが、良性の腫瘍であることも多く、すべてが緊急を要するわけではありません。
一方で、肝臓がん(悪性腫瘍)は早期発見・早期治療が予後に大きく影響します。「影があると言われたけど、様子を見ていた」という放置は禁物です。まずは専門医を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
肝臓の腫瘍は、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。症状が現れるころには、腫瘍がある程度大きくなっていることが多いです。
右上腹部の
違和感・鈍痛
肝臓のある右のわき腹あたりに、重だるさや鈍い痛みを感じることがあります。
腹部の膨満感
お腹が張ってきた、膨らんできたと感じることがあります。
全身の倦怠感・
食欲不振
「なんとなくだるい」「食欲がわかない」という状態が続くことがあります。
体重減少
原因不明の体重減少が続く場合、悪性腫瘍のサインであることがあります。
黄疸(おうだん)
皮膚や白目が黄色くなる状態で、腫瘍が胆管を圧迫した場合などに現れます。
腹水
悪性腫瘍が進行した場合、お腹に水がたまることがあります。
これらの症状は他の病気でも起こりえますが、気になる症状が続く場合は早めに受診することをおすすめします。
肝臓の腫瘍は、大きく「良性」と「悪性」に分けられます。それぞれの特徴を知っておくことが、適切な対処につながります。
良性腫瘍は、他の臓器に広がったり(転移)、命を脅かしたりすることは基本的にありません。多くの場合、経過観察で対応できます。
肝血管腫
(かんけっかんしゅ)
肝臓の良性腫瘍の中で最も多いものです。血管が異常に増殖してできた塊で、健診で最もよく見つかるタイプです。多くの場合は無症状で、治療の必要がないことがほとんどです。
肝嚢胞
(かんのうほう)
肝臓の中に液体がたまった袋状の病変です。先天的なものが多く、ほとんどの場合は経過観察のみで問題ありません。
肝細胞腺腫
比較的まれな腫瘍で、経口避妊薬(ピル)の長期使用との関連が指摘されています。まれに出血や悪性化のリスクがあるため、専門医による管理が必要です。
限局性結節性
過形成(FNH)
肝細胞が局所的に過剰増殖した状態です。精密検査が必要となることはありますが多くの場合は無症状で、治療不要です。
悪性腫瘍は放置すると他臓器への転移や生命への影響があるため、早期発見・早期治療が重要です。
肝細胞がん
肝臓の細胞そのものからできるがんです。B型・C型肝炎ウイルス感染・肝硬変・脂肪性肝疾患(MASLD)などを背景に発生することが多く、日本で最も多い肝臓の悪性腫瘍です。
胆管細胞がん
肝臓内の胆管の細胞から発生するがんです。
転移性肝腫瘍
大腸・胃・膵臓・肺などの他臓器のがんが血液を通じて肝臓に転移したものです。日本では肝臓の悪性腫瘍の中でもよく見られます。
肝臓の腫瘍の診断は、複数の検査を組み合わせて行われます。
腹部超音波検査
(エコー検査)
最初のスクリーニング(ふるい分け)として広く使われる検査です。お腹に超音波を当てて、腫瘍の有無・大きさ・形などを確認します。体への負担が少なく、健診でも行われています。
CT検査
お腹全体を断面画像で確認する検査です。造影剤(血管を見やすくする薬)を使うことで、腫瘍の性質・血流の状態・転移の有無などをより詳しく調べることができます。
MRI検査
放射線を使わずに、詳細な画像を得られる検査です。腫瘍の性質の鑑別(良性か悪性かの見分け)に特に優れています。肝細胞がんの診断において重要な検査のひとつです。
血液検査
(腫瘍マーカー)
AFP(アルファフェトプロテイン)・PIVKA-IIなどの腫瘍マーカーを測定します。肝細胞がんがある場合に上昇することが多く、診断の補助や治療効果の確認に使われます。ただし、早期がんでは上昇しないこともあります。
健康診断や腹部超音波検査で「肝臓に影がある」「腫瘤性病変が疑われる」と指摘された場合は、精密検査を受けることが大切です。最初の検査(腹部超音波検査など)で異常が見つかっても、それだけで「がんだ」と判断できるわけではありません。造影CT・MRI・腫瘍マーカーなどを組み合わせてより詳しく調べることで、腫瘍の性質を正確に評価します。
肝臓の腫瘍、特に悪性が疑われる場合は、消化器内科・肝臓専門医・外科・放射線科など、複数の専門科が連携して治療方針を検討します(集学的治療)。当院では、精密検査の結果に応じて、適切な医療機関・専門医への紹介も行っております。「どこに行けばよいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
肝臓の腫瘍の治療は、腫瘍の種類・大きさ・数・患者さんの肝機能の状態などを総合的に判断して決定されます。
多くの良性腫瘍(肝血管腫・肝嚢胞など)は、症状がなければ定期的な画像検査で経過観察するだけで十分です。腫瘍が大きくなって症状が出た場合や、出血・感染などの合併症が生じた場合には治療が検討されます。
腫瘍を含む肝臓の一部を切除する方法です。根治が期待できる治療として第一選択になることが多いです。
電極針を腫瘍に刺し、高周波電流で腫瘍を焼いて死滅させる治療法です。
肝臓の栄養血管(肝動脈)を詰まらせて腫瘍への血流を遮断しながら、抗がん剤を直接届ける治療法です。
手術や局所療法が難しい進行がんに対して使用される薬物療法です。
一定の条件を満たす場合に検討される治療法です。
原発巣(もともとのがんが発生した臓器)の治療が基本となります。状況によっては肝臓の腫瘍を切除したり、局所療法や薬物療法を組み合わせたりして治療が行われます。
以下に当てはまる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
「影があると言われたけど、症状がないから大丈夫だろう」と放置するのは危険です。早期に正確な診断を受けることが、適切な治療につながります。当院では、腹部超音波検査・血液検査をはじめとした検査を通じて肝臓の状態を丁寧に評価し、必要に応じて専門医療機関への紹介もいたします。気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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