脂肪性肝疾患
脂肪性肝疾患
脂肪性肝疾患とは、肝臓に過剰な中性脂肪がたまることで起こる肝臓の病気の総称です。肝臓全体の5%以上に脂肪が蓄積した状態を「脂肪肝」といい、その原因によって大きく2種類に分けられます。
ひとつはアルコール性脂肪性肝疾患(ALD)で、長期間にわたる過剰な飲酒が原因で起こります。もうひとつは代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)で、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧症などの生活習慣病との関連が深いとされています。
日本人の約20から30%が脂肪肝を持つとも言われており、男性では20~50代の働く世代に、女性では50代頃から脂肪性肝疾患の頻度が多くなると知られています。20~40代頃の女性でBMI(体格指数)が正常でも脂肪肝が潜んでいる可能性があり、肝機能検査異常といわれた方は注意が必要です。「健診でひっかかったけど症状がないから大丈夫だろう」と放置してしまう方も多いですが、適切な対処をしないと肝炎・肝硬変・肝臓がん・脳や心臓の血管のご病気や肝臓以外のがんのリスクが高まります。
脂肪性肝疾患は、初期〜中期にかけてはほとんど自覚症状が出ないのが最大の特徴です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、脂肪がたまっていても痛みや不快感を感じにくい臓器です。
症状が現れる場合は、以下のようなものが見られます。
「なんとなくだるい」「最近疲れが取れない」という状態が続くことがあります。
肝臓のある右のわき腹あたりに、鈍い違和感を覚えることがあります。
食欲がわかない、食後にもたれるといった症状が出ることがあります。
病気が進行して肝硬変になると、黄疸・腹水・むくみ・出血しやすくなるなど、より深刻な症状が現れます。しかし、そこまで進行してしまってからでは治療の選択肢が限られることもあるため、症状がない段階での早期発見が重要です。
脂肪性肝疾患の原因は、大きく「生活習慣・代謝の問題」と「アルコール」に分けられます。
長期間にわたる多量の飲酒は、肝臓での脂肪の代謝を妨げ、脂肪が肝臓にたまりやすくなります。毎日飲酒する習慣がある方や、「休肝日がほとんどない」という方は特に注意が必要です。アルコール性脂肪肝は禁酒・減量酒によって改善が期待できますが、飲酒を続けると肝炎・肝硬変へと進行するリスクが高まります。
脂肪性肝疾患の発見において、血液検査は最初の重要な手がかりです。健康診断で以下の数値に異常が出た場合は、脂肪肝が背景にある可能性があります。
肝細胞がダメージを受けると上昇する酵素です。 脂肪性肝疾患でも慢性的な炎症が続きますとALTが高くなる傾向があります。
アルコールの影響を受けやすく、飲酒習慣がある方で特に上昇しやすい数値です。MASLDでも上昇することがあります。
血液中の脂肪量を示します。高い場合は動脈硬化や肝臓への脂肪蓄積と関連していることがあります。
糖尿病やその予備群との関連を確認するために測定します。
血液中の脂質のバランスを確認します。
「ALTが少し高い」「γ-GTPが引っかかった」という程度でも、放置せず一度専門医に相談することをおすすめします。
脂肪性肝疾患の診断は、血液検査と画像検査を組み合わせて行われます。
肝機能・脂質・血糖値などを調べます。炎症の程度や生活習慣病との関連を把握するうえで基本となる検査です。
脂肪肝の診断において最もよく使われる画像検査です。脂肪肝では肝臓が白っぽく明るく映る「輝度上昇」という特徴的な所見が見られます。痛みがなく体への負担が少ない検査です。
脂肪の量をより詳しく調べたり、腫瘍の有無を確認したりするために行われます。
超音波を使って肝臓内の脂肪量や硬さを測定し、肝硬変への進行度(線維化の程度)を調べます。針を刺さずに受けられる検査です。
皮膚から細い針を刺して肝臓の組織を少量採取し、炎症・線維化の程度を顕微鏡で確認します。現在ではあまり積極的に行われておらず、血液検査や画像検査で原因が不明なために精査が必要な場合に行われます。
脂肪性肝疾患の治療の基本は生活習慣の改善です。現時点では脂肪肝に特化した治療薬はなく、食事・運動・体重管理が基本的な治療手段となります。
「脂肪肝くらいなら大したことない」と思われがちですが、放置すると段階的に病気が進行するリスクがあります。
脂肪がたまった肝臓に炎症が加わった状態です。倦怠感・食欲不振などの症状が現れることがあります。
炎症が長年続くことで肝臓の組織が硬く変化した状態です。一度なると元の状態に戻ることは難しく、さまざまな合併症を引き起こします。
肝硬変からさらに進行して肝臓がんが発生するリスクがあります。
「脂肪肝と言われてから何年も放置していたら、気づいたときには肝硬変だった」というケースも実際にあります。症状がないうちに生活習慣を改善し、定期的な検査で肝臓の状態を確認することが、肝臓を守る最大の方法です。
健康診断でAST・ALT・γ-GTPなどの肝機能数値に異常を指摘された方や、「脂肪肝の疑い」と言われた方は、ぜひ一度専門の医療機関を受診してください。
健診の結果はあくまでスクリーニング(ふるい分け)であり、正確な状態を把握するためにはより詳しい検査が必要です。「来年また健診を受ければいい」と先延ばしにしている間にも、肝臓へのダメージが積み重なることがあります。
また、「基準値内だから問題ない」と安心してしまう方もいますが、腹部超音波検査や当院でも検査が可能なフィブロスキャンを行うと脂肪肝が見つかることもあります。数値だけで判断せず、気になる方は一度しっかり検査を受けることをおすすめします。
以下に当てはまる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
「症状がないから大丈夫」は、肝臓に関しては特に注意が必要です。脂肪性肝疾患は症状が出にくいからこそ、定期的な検査と早めの対処が肝臓を守る大きな一歩になります。
当院では、患者さんの生活スタイルに合わせた無理のない改善方法を一緒に考えながら、継続的にサポートいたします。気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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