大腸憩室
大腸憩室
大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出した状態のことです。ちょうど風船の一部がぷくっと膨らんだようなイメージです。この袋状のくぼみを「憩室(けいしつ)」と呼びます。憩室は大腸のどこにでもできる可能性がありますが、日本人ではS状結腸(大腸の左下あたり)や右側の大腸(上行結腸)にできやすいとされています。ひとつだけできることもあれば、複数できることもあり、加齢とともに増えていく傾向があります。
憩室があること自体は「病気」ではなく、多くの場合は自覚症状がなく、大腸カメラ検査などで偶然発見されることがほとんどです。ただし、憩室に炎症や出血が起こると、強い腹痛や血便などの症状が現れることがあるため、発見後は定期的な経過観察が大切です。
大腸憩室は、憩室があるだけでは多くの場合に症状はありません。大腸カメラ検査を受けて初めて「憩室がありますよ」と言われて驚く方も少なくありません。ただし、憩室に合併症(炎症や出血)が起きると、以下のような症状が現れることがあります。
憩室炎や憩室出血はいずれも早めの対処が必要です。「突然お腹が痛くなった」「血便が出た」という場合は、速やかに医療機関を受診してください。
大腸憩室ができる主な原因は、大腸の内側の圧力が高くなることと大腸の壁が弱くなることの組み合わせと考えられています。
食物繊維が少ない食事や水分不足が続くと、便が硬くなり、腸が便を押し出すために強い力をかけなければならなくなります。この圧力が繰り返しかかることで、腸の壁の弱い部分が少しずつ外側に押し出されて憩室ができると考えられています。肉類中心・野菜不足といった食生活は、大腸憩室のリスクを高める可能性があるとされています。
年齢を重ねると、大腸の壁を支えている筋肉や組織が弱くなっていきます。そのため、憩室は中高年以降の方に多く見られます。40〜50代から増え始め、70代以上の方では多くの割合で憩室が見つかるとも言われています。「歳をとると自然にできやすくなるもの」と理解していただくとよいかもしれません。
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、大腸憩室の診断において最も確実な検査です。カメラで大腸の内部を直接観察することで、以下のことを詳しく確認することができます。
「憩室があると言われたけど、どんな状態なのかわからない」という方も、大腸カメラ検査を受けることで腸の中の状態を正確に把握することができます。また、大腸カメラ検査は憩室出血が起きたときにも重要な役割を果たします。出血している憩室を特定し、内視鏡的な止血処置(カメラを使って出血を止める処置)を行うことが可能なケースがあります。
炎症があるときは憩室の部分はより壁が薄くなっており、内視鏡検査で穿孔のリスクを伴いますので、エコー検査やCT、血液検査で診断をいたします。検査に対して不安をお持ちの方も多いかと思いますが、鎮静剤(うとうとするお薬)を使用することで、苦痛を軽減した状態で受けていただくことができます。まずはお気軽にご相談ください。
大腸憩室の診断には、症状や状況に応じてさまざまな検査が行われます。
大腸カメラ検査
(大腸内視鏡検査)
大腸の内部を直接観察できる最も確実な検査です。憩室の数・場所・状態を詳しく確認できます。憩室と言われた方は主な場所を確認し、炎症や出血が起こった場合の対策を行うためにも大切です。
CT検査
お腹全体を断面画像で確認する検査です。憩室炎が疑われる場合に、炎症の範囲や穿孔の有無を調べるために使われます。腸の外側の状態まで確認できるため、大腸カメラ検査と組み合わせて行われることがあります。
腹部超音波検査
(エコー検査)
お腹にゼリーを塗って超音波を当てる検査です。体への負担が少なく、炎症の確認に役立ちます。
血液検査
炎症の程度を示すCRP(炎症反応)や白血球数を調べます。憩室炎が疑われるときに炎症の強さを把握するために行われます。また出血が起こっている場合は貧血の進行がないか、緊急の大腸カメラを行う必要があるかの判断するために行います。
憩室があっても炎症や出血がなく、自覚症状もない場合は、基本的に特別な治療は必要ありません。ただし、憩室が消えてなくなることはないため、生活習慣を整えながら定期的な経過観察を続けることが大切です。
憩室に炎症が起きた場合(憩室炎)は、腸を休ませながら治療を行います。軽症であれば外来での経過観察や抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)の内服で対応できることがありますが、炎症が強い場合や合併症がある場合は入院治療が必要です。入院中は絶食や点滴、抗菌薬の投与などが行われます。憩室炎を繰り返している方は痛みの程度が軽く、すでに腸に穴が開いた(穿孔)場合や腸の周りに膿がたまった(膿瘍)状態になっていることがあり注意が必要です。重篤な合併症が起きた場合には外科手術が必要になることもあります。
憩室出血は、突然大量の血便が出るのが特徴です。多くの場合は自然に止まることがありますが、出血が続く場合や大量出血の場合は緊急の対応が必要です。大変ですが原則下剤を内服していただき、腸内をきれいにしてから大腸カメラ検査をまずは行います。以前の検査歴やその他の画像診断の結果を参考にして、慎重に憩室の場所までカメラを進めて、出血を起こしている憩室が同定されれば止血の処置を行います。
しかしながら突然多量の血便が出たのにも関わらず、検査をした時にはすでに出血が止まっていて、特に憩室の数が多い方はどこから出ていたのかが分からなくて終わるということも少なくありません。患者さんも繰り返すと心配になり、精神的にも落ち込んでさらに不安が助長されてしまいます。ですので出血等が起こった場合は受診しやすい診察環境や検査体制を受け入れる側も整えておくことが大切です。
血液サラサラのお薬を内服されている方などは内視鏡で止血した後も稀ですが出血が止まらないケースは血管造影(血管にカテーテルを入れて出血部位を特定・止血する方法)によって止血処置が行われることがあります。
「憩室があると言われたけど、症状がないから大丈夫」と放置してしまう方もいらっしゃいます。しかし、憩室は一度できると消えることはなく、以下のような合併症を引き起こすリスクがあります。
憩室炎
憩室に便がたまって細菌が繁殖し、炎症を起こした状態です。強い腹痛・発熱などが現れ、入院治療が必要になることがあります。繰り返し憩室炎を起こすと、腸が狭くなる(狭窄)や腸と他の臓器がつながってしまう(瘻孔)といった重篤な合併症につながるリスクがあります。
憩室出血
憩室の近くにある血管が傷ついて出血します。突然の大量血便として現れることが多く、緊急処置が必要になるケースもあります。痔だと思うから大丈夫でなく早めの受診をおすすめいたします。
腸管穿孔
(ちょうかんせんこう)
炎症が進んで腸に穴が開いてしまう状態です。腸の内容物がお腹の中に漏れ出し、腹膜炎(お腹全体に炎症が広がる病気)を引き起こす危険があります。緊急手術が必要になる重篤な状態です。
合併症は突然起こることがあります。憩室を指摘された方は、定期的な大腸カメラ検査で状態を確認し、生活習慣を整えながら医師の指示に従って経過を見ていくことが大切です。
以下に当てはまる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
「憩室があると言われたけど、どうすればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。憩室と思っていたら大腸に他の病気が見つかったということもあり、憩室自体は便通コントロールや症状がなければ心配ありませんが、定期的な大腸カメラ検査で腸の状態を確認しておくことが、合併症の予防や早期発見につながります。またご年配の方で大腸のS状結腸(左側)に憩室が多数存在する方は、そこの部分の内腔が狭くなっていることもあり、また穿孔しないように慎重に内視鏡の検査を行う必要があります。当院では、患者さんお一人おひとりの状態に合わせた丁寧な説明と経過観察を行っております。どうぞお気軽にお声がけください。
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